« 好きよ、好きよ、キャプテン♪ | メイン | アメリカスカップ »

2006年08月04日

打つべし、打つべし、打つべし

a06080401.jpg
先日のWBA世界ライトフライ級王座決定戦、亀田興毅対ランダエタの評判がすこぶる悪いようです。
まぁ持ち上げすぎてバカ騒ぎしてたTV局と提灯持ちのタレントや亀田人気の尻馬に乗ってたタレントのことを思えば、小気味いい感じすらします。
でも、確かに亀田興毅はしょっぱい試合はしたけれど、ボクサーとしての資質は高いですよね。
で、僕はボクシングは好きだし、知ったかぶりはしたくないけど余りに無知な論評が多すぎると思います。別に亀田興毅ファンじゃないし、庇うつもりもないけれど、そりゃちょっとひど過ぎるんじゃないでしょうか?
TBSには番組中から終了後にかけて3万3500件以上の電話があり、担当者が応対したうち半分は「いつになったら始まるのか」といった苦情だったそうです(笑)
多くの人がボクシングの興行のメインイベントが何時頃始まるかも知らないで観てたんですね(笑)
残りの半分は「判定がおかしいのではないか」って内容だったそうです。
多分、そのうちの大半の人がこのボクシングのジャッジ基準も知らなかったんだと思います。
僕だってそれほど詳しくもないし、ボクシング事情に精通してる訳ではないです。
でも苦情や抗議の前には最低限のベースが要るでしょう。それを無視してしまっては、サッカーでオフサイド・ルールも知らないで、「何で今のが反則なんだ!」と叫んでるのと同じになってしまいます。

まず最初に書いておくと僕も試合終了時には、微妙ながらもランダエタの勝ちかなと思いました。
別にテレビ観ながら採点してた訳じゃないですが(笑)
でも、それも最近のボクシングにおける採点のトレンドを踏まえた上のことで、僕が苦々しく思ってることを飲み込んでの話です。
手数を多く出した方の勝ち!ってのは大きな間違いだと思うのですが。

・八百長疑惑について
ネット上には悪意の八百長疑惑だとする書き込みが多いようです。
実際、現時点では「はてな」の「亀田興毅とは」でも八百長プロボクシング選手とされてます。
まぁ、こうやって一種の書き換え行為をそこらじゅうでやってる負け犬がいるようです。
亀田興毅とランダエタに関しては試合中に八百長をやってる節は見当たりません。当たり前ですが。
どちらも超一流のボクサーとは思えませんが、一流のボクサーだったと思います。
どちらにもセコセコした消極性があり、積極性も混在しています。その点では面白いです。
で、八百長だとすればジャッジですが・・・。
パナマのパディージャはランダエタの115-112ですから論外ですね。
で、韓国の金はともかくフランスのタロンに至っては最終Rで1差を付けてる訳です。
普通、買収されてる人間はこんな危ない橋は渡りませんね(笑)

・有効打について
僕が昨今、苦々しく思ってることです。
本来、クリーンヒットである有効打をポイントに取るべきなのですが、五輪におけるアマチュアからの慣習か、もしくは解りにくいからか最近は浅いパンチを評価しすぎです。
擬音に例えると「パーン!」とか「バコッ!」とか「ズコッ!」が妥当でしょう。
でも「ポコっ!」とか「ペチっ!」も有効打になっているのです。要するに手数の多いもの勝ち。
確かにランダエタはたくさん打ってます。でも半分以上はガードの上から。
亀田の両ガードを割って打ったパンチもありましたが顔面に届く頃には「ペチっ!」ですから(笑)
要するにパディージャ以外のジャッジは亀田の有効打を評価した形です。
けど昨今のトレンドには逆らってますから、慣れきった元プロボクサーですら見誤ってるようです。
僕も慣らされたというか、あきらめてたくらいですから。
あとランダエタは好印象を与える為にラスト15秒にパンチをまとめて打ってきました。
とりあえず、ガードの上であろうが何であろうが。
自分では狡猾なつもりかもしれませんが、プライドの高いジャッジには逆効果です。
サッカーで言うシミュレーション、柔道で言う掛け逃げの印象を与えてもおかしくないはずです。

・マスト・システムについて
ラウンドごとになるべく優劣をつけるシステムです。優勢な方が10点。
この試合に関して「ラウンド・マスト・システム」とか「必ず優劣をつける」とかの表記を見つけたら、そこの論評は無視してください。
また別のシステムのことで、その時点で大きく履き違えているおそれがありますから(笑)
で、これが曲者で「イーブン(10-10)」もあるのですが滅多に使われません。
僕はイーブンこそがボクシングの美徳であると思っていたのですが、サッカーの0-0の美徳を理解できない輩がサドンデスを求めたようにボクシングでも悪貨が良貨を駆逐しています。
これこそが今回の亀田の勝因であり、マスト・システムでなければランダエタだったでしょう。
例え僅かな差でも10-9になってしまいがちです。旧来ならイーブンだったものが。
で、ダウンは大概が2点マイナス。事実、亀田がダウンした1Rは3人が3人共に10-8です。
僕はビデオにとってないし、全てのラウンドを記憶してるわけではないですが、明確にランダエタが
取ったと思えるラウンドは、この1Rと4Rと11Rです。
一方、明確に亀田が取ったラウンドは3Rと10Rと12Rです。
記憶が定かではありませんがジャッジペーパーを見ると6Rも3人のジャッジが亀田にしています
から、多分このラウンドも明確だったのでしょう。
いいですか?ダウンがあっても10-8。たった2点差。
僅かな差でも明確なら10-9。
僕がここにあげたラウンドだけで亀田はダウンを取り戻してイーブンなのです。
残りの5つのラウンドは、もっと僅差のラウンドだったということです。
それに無理やり、優劣をつける。イーブンをつける勇気があったのは3Rの金だけです。
残りの5つのラウンドのうち、2Rだけは僕は正直、亀田だったと思ってます。
残るは5Rと7R~9Rだけですが、明確に覚えてないけど、この辺りで亀田の敗色が濃厚と思った人は少ないんじゃないでしょうか?

要するに、そういうことです。
確かに、このマスト・システムを以ってすれば判定はどっちに触れてもおかしくなかったのです。
亀田選手は素晴らしいコンビネーションは持っているけどガードに隙はあります。
ランダエタもチマチマ変則に構える技術はあるけど圧力はない。
素晴らしい試合とは言えないけれど、僕にとっては面白い試合でした。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://capri.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/1099

コメント

19才にして良くがんばったと思いますよね。
とゆうか、亀田が悪いワケじゃないですよね??
亀田はお父さんにベルトプレゼントしたいって純粋に言ってたと思いますから。
勝ったのが決まった瞬間の涙はきっと純粋だったと思います。
いや、思いたい!!!
後は、言葉使いさえきちっとすれば完璧です(笑)

僕は、イタリア料理もカナリ詳しいけれど、格闘技はもしかしたらもっと詳しいかもしれない。かつて試合前のピーターアーツと握手してその後の試合、僕の握力で痛めてしまった拳で敗戦に追い込まれたのは知る人ゾ知る伝説である。 とそこで今回の亀田戦。まさにこのぶログの持ち主の言うとおり。何の落ち度も不思議も無いと思う所であります。

>keeさん
そう僕は別に亀田クンのファンでもなんでもないんですよ。
でも、良いところと悪いところははっきりしなきゃ。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いじゃダメですよね。

>シェフさん
アーツ嫌がってましたやん(爆)
そのアーツも僕には「サンキュ」と、わざわざ礼を言いにきましたからね!
そういえばシリル・アビディもTDRであった時、僕に頭を下げて礼を言ってましたよ(笑)
で、亀田戦は落ち度ないですよね。あるとしたら実況席かな。
でも僕らが慣れ親しんだ昔の採点方法なら負けでしょうね、亀田。
やっぱ僅差のラウンドは10-10が妥当かと思います。
「ただ今のラウンド、矢尾板さんの採点は10-10です!」
と叫んでCMに映るのが本筋です(笑)

コメントする