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2005年08月19日

僕が愛する映画[03/10]

野性の証明「野性の証明」
高倉健&薬師丸ひろ子。原作は森村誠一。角川映画。
この頃の角川映画は莫大な宣伝費用を用いて嫌われた(笑)
作品自体は大したことないってのが一般的な見解。
確かに話の設定はメチャクチャで、武器などの扱いもひどい。
当時の刑事ドラマ並み。映画なんだから、もう少し・・・。
確かにヘボい。悪態はいくらでも突ける。
ましてや、現在DVD化されたのを見ればヘボい感は増量かと。
しかし、映画はそんなことだけでは語れないとこがあるでしょ。
当時の角川映画には、もう少し評価されてもいい部分がある。
少なくとも角川映画の中でも、この「野性の証明」だけは。
何か突き動かされる感動があったと僕は思います。

その感動が何であるか、僕は明確な答えを持っていません。
それは、高倉健の真剣さが生み出したものだったのだろうか。
ヤクザ映画でない健さんがメチャかっこいいのです。
やってることはメチャクチャなのに、かっこいい。
いや、味沢って男はかっこ悪いのだ。真面目で律儀で融通が効かない。そんなかっこ悪さ。
そして、「そんな訳ねぇだろ」って感じのシチュエーションに何の疑問も抱かず
敢然と立ち向かう様が、かっこ悪い。・・・はずなのだ。
しかし、そんな設定の中で野性を覚醒させる健さんが、淡々とかっこよく映る(笑)
『男はタフでなくては生きて行けない。やさしくなくては生きている資格はない』
キャッチに使われた、フィリップ・マーロウのセリフが空々しくもピッタリくる。
一方、薬師丸ひろ子も演技なんてしてない(暴言)のに、鮮烈に映るのである。
なんせ、無口な役柄なんで(笑)でも、尋常な眼つきではない。
最初は、なんでこんなガキがオーディションで選ばれるんだと思えるくらいなんだけど。
映画を観終わった後に残る印象は、高倉健と薬師丸ひろ子の凄さだけ(笑)
それにしても、このオーディションで薬師丸ひろ子をピックアップし、
82年の『角川映画大型新人募集』で渡辺典子(晴~れ、時々キルミー♪)をグランプリと
しながら、原田知世を特別賞で拾った角川春樹の眼力は只者ではない。
多分、彼の最大の功績でしょうな、知世ちゃんは。
だって、デビュー前の彼女は・・・。当時、「バラエティ」って雑誌を読んでて、
驚いたもの。何、この子?って。しかし、僕より角川春樹の方が正しかったわけである。
ただの坊ちゃん、ただのヤク中ではない。角川源義の息子だけのことはある。
俳人としても立派な句を生んでいます。
「少年期 晩夏の海に 銃を撃つ」「美しき 阿修羅すがしや 土用東風」

あ、映画の話ですね。要するに「野性の証明」は角川映画の最高傑作と言っても良い
のではないかってことです。僕の知り合いに、この作品を田舎の映画館で繰り返し何度も
観たバカ(褒めてます)も、いましたし(笑)