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2007年07月23日

赤い指

赤い指
赤い指(著)東野 圭吾
読了しました。
本書の内容に抵触(ネタばれ)しますので、折り畳んでおきます。
また、個人的及び主観的な感想なので、気分を害される方もおられるかと思います。
続きを読まれる場合は、ご了承の上、自己責任でお願いします。

やっぱり、期待に違わず面白いですね。ちょっと読むのはしんどいけど。
僕にとって、生理的嫌悪感を感じるような登場人物が多いんですよ。
まぁ、東野圭吾作品にはそういうの多いんですけど。「手紙」だって、僕はそう感じていたし。
ただそういう描写を克々と積み重ねる文章を読んでると、著者は確信犯だなぁと思えます。
決して激情とかで筆が流れたりしないし。
普通なら書いてて嫌気がさしても不思議ないと思うくらいです(笑)

この作品は人によって感じ方がかなり違うかもしれません。
粗筋だけ追ってるような読み方をされると、つまらないと思われる方もいるかもしれない。
東野圭吾にトリックや感動を追い求めているような方にも、つまらない作品かも。

話の粗筋的には取るに足らないようなもんです。
どうしようもない醜悪な家族がいましたと。そんな話です(端折りすぎ)。
でも、この作品は犯行の解き明かしや伏線なんかも二の次です。ちゃんと丁寧に積み上げては
いるけれど、それだけじゃ良く出来た火曜サスペンス劇場に留まりますから(笑)

圧巻は終盤。政恵っておばあちゃんは何も語らないんですよ、台詞を。
あと加賀刑事の父親の隆正も死に際して何も語らないんですよ。
それでいて、周りの人間に語らせて、政恵や隆正の心情は如何程なものかってことを切々と
まくし立ててくる文章。僕は舌を巻きました。
東野圭吾の試行のひとつではないかと思います。

で、加賀恭一郎ってのは、あの加賀くんか?同一人物か?いつの間にこうなったんだ?(笑)
つまみ食いの乱読のツケが廻ってきたきた感じです。やっぱ時代を追って読まなきゃ駄目かな。
でも、今は新作を読みたいのですが(苦笑)