「大山倍達正伝」読了
大山倍達正伝
やっと、読了(笑)最近、活字離れが甚だしかったのと、600頁を越えるノンフィクションだった
ために、やたら時間を要しました。
友人M氏から薦められたとはいえ、「何が悲しくて今更、大山倍達を読まなくてはいけないか。」
と思いつつ読み進めていましたが、内容的には中々興味深いものがありました。
確かに大山倍達伝説の虚構部分には我々なら知ってる部分も多くあるのですが、勿論知らないこと
の方が多いわけで。そりゃ、関係者だって知らないことも多いでしょうから。
それが必要か不必要かといえば、一般人には不必要なのですが(笑)
この本を読むべき人ってのは、どういう人なのか?って事を考えてしまいますね。少なくとも
組織名に「極真」の文字が入ってる関係者は読んだ方がいいかもしれません。
「正義なき力は圧制なり」の言葉の重さが違いますから。
でも、一般の人は読む必要のない本です(笑)
本書はドキュメンタリーでありながら(ドキュメンタリーにはありがちですが)、証言を拒否されて
いるケースが多々あります。生き証人ですら語りたくない部分があるわけです。
あと、証拠や記録がない部分が余りにも多すぎる訳です。そういう部分については状況を踏まえて
憶測するしか方法がない訳で、僕は個人的に憶測を交えて答えを導こうとする姿勢を咎めるつもりは
ありません。しかし、本書が何を何処へ導こうとしているのかが解りません。
いや、僕はぼんやりと気付いてるんだけど、僕は気付かないフリをして生きていこうと思います。
例えば大山氏と梶原氏の邂逅がこの世に存在しなければ、大山倍達は晩年、聖人君子のような
伝説を残したかもしれないし、芦原さんや黒崎さんや添野さんや石井さんらも、全然違うことに
なっていたと思います。何より松井章圭氏が違ってたでしょう。
でも、歴史は歴史としてあり、なおかつ全ての人がインサイダーの事情を知らねばいけないとは、
僕は思いません。
だから僕の口伝は今後も「日本にはマス大山という空手家がいてね」から始まり
「牛殺し」の話に進み、「ウィリーはメチャクチャ強かったけど反則負けした」と続くし、
「総裁の弟子にはケンカ十段と呼ばれる男がいて・・・」となります。
決して、知らない人にウィリーのアングルや芦原氏の晩節をわざわざ説明したりはしない。
真実は必ず存在するけれど、いつも真実を晒せばそれで良いという訳ではないと、本書を読みなが
ら考えました。