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2005年12月14日

フェア・プレーの精神

先日のみずほ証券が誤発注したジェイコム株の事件ですが、1株91万2000円の現金決済で
決着したようです。表現は陳腐かもしれませんが、生き馬の目を抜くような世界ですから、
何があってもおかしくはないし、儲けた人も正当な利益であると思います。
僕は個人的に村上ファンドの村上氏のような存在や活動も全面的に認めるし、世の中では
インサイダー取引なんてのが禁止されていますが、インサイダーじゃない人間が入手した、
確実かつ重要な情報の扱いはどうなるんだと思うくらい、この業界に対する許容度は高いと
思っています。
繰り返しますが、今回漁夫の利を得た個人投資家は、トレーディングのトレンドを睨んでいた人で
幸運を祝福する気持ちこそあれ、妬んだりする気持ちは一切ございません。

これをサッカーに例えるなら、今回利益を得た個人投資家は、ゴール前で交錯している時に、
ちょうど走りこんできた選手の目前にボールが跳ね返って来たから、蹴りこんだ感じかと。
一般的にはラッキーなゴールと言われますが、フィールド上にいる選手の大半が諦めかけた時に、
諦めずゴール前に詰めて走りこんでいたからこそ生まれるゴールです。
すぐ割り切ってボールを追いかけるのを止めてしまう選手には、幸運も舞い込みません。
で、前述した業界でのルールすれすれの行為というのも、サッカーで言う遅延行為や審判の死角で
袖を引っ張るような行為に似た感じかと。僕は勿論好みませんが、これって相手を苛立たせる為に
かなり効果的なんです。世界と日本のサッカーの差は、こういうところにもあります。
だから、僕は好きじゃないけど「汚い」と思いつつ容認せざるを得ないのです。
ただ、そんなダーティな行為をやりつつも、不文律は存在するのです。
自軍の選手が怪我で倒れた時、プレーを中断する為に、敵軍が外へ蹴りだしてくれたボールは、
プレー再開時には、自軍のボールになってしまうので、必ず相手に返すのが礼儀であり、
当然の行為であると云えます。例えルール上で自軍のボールであっても。
それがアンフェアな行為を続けながらも、最低限持ち合わせているフェア・プレーの精神です。
なのに、そういう精神のかけらもない連中が・・・。

今回、みずほ証券が誤発注した際には、どこが誤発注したかは解らずとも明らかに間違いである
ことは、証券会社なら理解できた筈です。そのような状況下において、みずほ証券の買い戻しにも
協力せずに自社の利益を目指した会社があります。
法律的に何の問題もない訳ですが、僕は間違っているとしか思えません。
僕が倫理上、間違っていると思う行為を行なって利益を上げたのは以下の6社。
野村証券
日興コーディアル証券グループ
UBS証券
モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド
リーマン・ブラザーズ証券グループ
クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券グループ
実は、この内の1社は推定100億円以上の利益を上げたと思われますが、問題は金額ではないと
僕は考えます。
野村證券が掲げる「ハッピー2010ストーリー」とは、そういうものなのか。
日興コーディアル証券の経営理念の最終行は、こういうことなのか?
あくまでも僕の個人的見解なので、是非は問いません。
でも、ボールを蹴り返さない、隠している手を見せない会社を僕は信用できないし、
多分、自社の行為に誇りを傷つけられた社員も少なくはないと思います。

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